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プライドの高い新卒営業が、先輩にかみついてわかったこと
入社1年目ながら、市場動向を的確に分析し、ハードルが高い案件を次々と受注している和田真成さん。
エリート街道を走る新人営業だと思われがちですが、実はプライドの高さゆえに、入社直後は思うような行動ができず、先輩にかみついたこともあったそうです。
どうやって入社直後の葛藤を乗り越え、華々しい成果を出せる営業に成長したのか、答えてもらいました。
■「失敗したくない」というプライドを捨てるには
ハウスドゥの面接は「落とす面接」ではなく「受からせる面接」だと感じた。
大学院卒の僕は、大卒の同期より年上であることがプレッシャーだった。
だから面接では「同期で一番の成果を出します」と勢いよく宣言した。
ところが、面接官の市山係長はゆっくり首を振った。
「伸び悩む時期は絶対にあるよ。私も最初は営業成績が良かったけど、途中から急に伸び悩んでしまって、イチから営業スタイルを立て直したんだ」
そう言って、まだ採用すら決まっていない僕に失敗談を教えてくれた。
こんな面接をした会社はほかになく「応募者に寄り添ってくれるおもしろい会社だな」と思い、入社を決めた。
最初は、営業電話がめちゃくちゃ嫌だった。
プライドが高い僕は「事務所の人たちが電話の内容を聞いてるんじゃないか。ダメなところを指摘されるんじゃないか」と気にしていた。
自分以外の営業はどんどん電話をかけている。
焦ってもなかなか行動に移せない僕に、OJTの先輩はこう言い放った。
「あのな、みんな自分の仕事に集中してて、人の電話なんて全然気にしてないから」
そりゃそうだ、と納得したおかげでこれまでの5倍はかけられるようになり、工夫もするようになった。
僕は同じことをずっとやり続けるのが苦手で、思考停止するのが嫌いだ。
何かやっていることに工夫したくなる。
「1日1,000件、電話をかけろ」と言われても、ただかけ続けるのは苦痛だ。
断られるたびに、「何がダメだったのか?」と考えて修正したくなる。
量より質が気になるのだ。
営業電話はすぐ断られることが多い。
100件中5件OKがもらえるのと、15件中5件OKがもらえるのとでは、こちらのモチベーションもまったく違ってくる。
ガチャ切りがスタンダードなので「とりあえず聞いてもらうには、何を言えばいいか?」を考えるようになった。
「何を言えば、お客様に話を聞いてもらえるか?」
「お客様は、何に困っているのか?」
「どんな情報なら欲しいと思ってもらえるか?」
電話を切られるたびに仮説を立ててトライ&エラーを繰り返した末に、あるテンプレートを作った。
それはお客様に最新の物件情報を送るメールマガジンの提案だ。
お客様にとってメリットがある情報を届けるため、30件かけたら25件はメールアドレスを教えてもらえた。
おかげで電話営業は苦でも何でもなくなり、日常業務の一部になった。
■先輩にかみつき、空気が凍った「和田事件」
幸先のいいスタートが切れたと思ったが、新卒がそんなにすぐ上手くいくわけはない。6月には、また新しい壁にぶつかった。
6月初めの会議で、営業部の部長がピリピリしていた。営業部全体の成績が悪かったからだ。
先輩たちの案件取得数が少なく、僕のほうが多いくらいだった。
モヤモヤした僕は、マネージャー陣がいる前で先輩たちに向かって物申した。
「案件取得数なんて、電話すればすぐに増やせます。なんでこんな数字なんですか?本当に仕入れるつもりありますか?」
空気が凍った。
副部長やマネージャー陣はうんうんと頷き、
「和田、よう言ったな。こういう風に言うやつがいないとダメや。お前らどう思ったんや」
とフォローしてくれたが、当然ながら先輩たちとの関係には亀裂が入った。
挨拶をしても返してもらえなかったり、敬語で話されたりと、距離を置かれてしまった。
僕も先輩に啖呵を切ってしまった以上、成果を出さないといけない。
その月は無我夢中で電話をかけまくり、初契約を掴み取った。
先輩たちも火が付いたようで、全員が仕入契約を獲得し、だれも「0」という数値は出さなかった。
これは今でも「和田事件」と語り継がれているほどで、僕の転機であり、自己主張が強いキャラクターになったきっかけでもある。
■尖ったキャラクターからの卒業
やる気に満ち溢れていたからこその行動だったが、今となっては「やりすぎた」と反省している。
先輩たちに物申すくらい尖ったキャラクターだったものの、営業スタイルはなかなか確立されなかった。
最初は「何卒ご教授ください!」と新人らしい営業をしていたが、当時働いていた名古屋エリアでは「なんだ新卒か」と落胆される傾向があり、あまり成果に結びつかなかった。
安定しない毎月の数字に一喜一憂し、困難に直面して初めて「だから先輩たちも悩んでいたのか」と理解できた。
絶望的な数字で落ち込んでいた時、ある先輩に「やばいっすわ」と打ち明けたら、あっさりこう返された。
「浮き沈みあるなんて当たり前っしょ。仕入れられる時に仕入れておいて、契約できるタイミングでたくさん契約をしておくことだよ。ダメなときはダメって割り切らないと、パフォーマンスが落ちるぞ」
そうか、一喜一憂しなくていいのか。
その時々でベストを尽くして、全体のバランスを保てばいいんだ。
そう思ってから、少し楽になった。
威勢よく社会人デビューしたものの、僕の生き方はそんなにうまくない。
そろそろこの尖ったキャラクターをやめたい、と思っている。
というのも、僕が先輩にかみついたのは、自分をやらなきゃいけない状況に追い込みたかったからだ。
昔から追い込まれないとやらないタイプで、成長するために負荷をかけてきた。
自分が蒔いた種なので、苦労するのは当たり前だ。
でも、わざわざ先輩にかみつかなくてもよかったんじゃないか、と思う自分もいる。
ずっとこのやり方でいいんだろうか?と疑問を感じるようになった。
まだ自分に合うスタイルは見つかっていないし、何をトリガーに頑張ればいいのかもわからない。
でも「同期で一番早く役職者になりたい」という野心はある。
役職者になるには成果で認められるしかないので、思考停止せずに改善を積み重ねていって、自分に合うスタイルを見つけたい。
無理やり負荷をかけないと前に進めなかった学生時代と決別して、日々の行動で経験を積みながら自分ならではのプレイスタイルを見つけ、前に踏み出す力をつけていくのだ。
(和田真成 売買事業部 JR高槻北口 営業 )
文:秋カヲリ
写真:清永洋
編集: AROUND.inc
企画運営・担当広報:株式会社ハウスドゥ・ジャパン
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