「努力しても成果が出ない」と感じている人へ
給料が安いのに、この会社にいていいんだろうか。
25歳の私はそんな不安を抱えていました。
新卒で住宅建材の販売営業になったものの、「これから伸びそうだ」と思って入社した会社は一向に成長せず、いつまでも給料が低いまま。
結婚が決まって
「今の自分は家族を支えられるのか」
といよいよ心配になり、転職活動をスタートしました。
26歳で不動産営業へ転職して数々の店舗で店長を務め、30代で「社員のだれよりも全国を飛び回った営業」に。
仕事への向き合い方がガラッと変わり、今は給料の不安なく働いています。
稼げるようになったのは、向き合い方を変えて成果を出せるようになったからです。
逆に言えば、それまでの私は稼げない働き方をしていました。
どうやって成果を出し、稼げる働き方にシフトできたのか。
私の転職体験から「キャリアアップのコツ」をお伝えします。
■転職で「経験」や「スキル」より大事なポイント
25歳で給料アップのために始めた転職活動。
不動産会社・ハウスドゥのことは「知っているから」「不動産営業なら稼げそうだから」といった単純な理由で志望しました。
面接相手は、役員2名と人事課長。
私がどんな人間かを深掘りされ、経歴やスキルよりも人間性を見ていることに驚きました。
「夜遅くまで働くこともあるよ」(当時は今よりもハードな時代でした)
「配属先の店長は厳しい人だよ」
といった話も正直に伝えられ、好感を持ちました。
その場で「一緒に働きましょう」と誘いを受け、すぐに承諾。
スピード感のある会社だと思いました。
入社してみると、一般的な不動産会社のイメージとは違っていました。
数字を競い合う営業だからこそ、前社ではノウハウを教えてくれない先輩が多々いましたが、ハウスドゥは個人ではなくチームで取り組む社風。
質問すれば、みんな手を止めて話を聞き、答えてくれます。
そのとき、面接で「どんな人間か」を深掘りされた理由がわかりました。
ハウスドゥのメンバーは、全員「人が大好き」なんです。
だから自然と「助けたい」と思い、親身にサポートしてくれます。
経験やスキルよりも人柄が大事。
人柄こそ成長の源なのだと実感する出来事でした。
■入社3年目、沖縄で初の挫折
京都店に入社し、岐阜、沖縄、愛知、東京、静岡、滋賀、兵庫と転勤を重ねてきましたが、一番苦労したのが沖縄です。
沖縄は初の出店でした。
まだ未開拓のエリアで、会社の知名度はゼロ。
しかも沖縄は本州と文化が違い、まるで異国のようでした。
お客様の性質がまったく違うんです。
本州では、お客様にガツガツ連絡して契約を取るのが基本でした。
でも沖縄では、ガツガツ連絡するとお客様がサーッと引いていきます。
現地の人たちからは
「いったい何しに来たんや」
と言われている気がしました。
私は入社して3年目を迎え、中堅になっていました。
それまで挫折らしい挫折を経験せず、しっかり数字を上げてきた自信もありました。
それなのに、沖縄に来て3か月経ってもまったく成果が出ない。
一気に自信を失って
「このままクビになるんじゃないか」
という不安がこみ上げてきました。
でも、現地文化が根強い沖縄の人からすれば、いきなり知らない会社が入ってきて「いったい何なんだ」と思うのは当然です。
郷に入っては郷に従え。
まずは沖縄の文化を知らなくては。
そう考え、コミュニケーションから見直しました。
沖縄の不動産には、飲み文化があります。
酒豪が多いので18時から5時まで飲むことも…。
その分、1回でもお酒を飲み交わせば仲良くなれます。
飲み会に参加しているうちに、だんだんよそ者感が薄まっていきました。
知り合った人から不動産の情報をもらえるようになった僕は、ようやく沖縄の不動産仲間に認められた気がしたのでした。
■営業なのに「電話しすぎ」と注意された
営業スタイルも変わりました。
どれだけお客様に電話しても成果が出ず、当時の店長に相談することに。
店長は
「電話しすぎ」
と返しました。
「中川の営業は自分よがりで、お客様をつめすぎ。そっとしておけばお客様から電話をかけてくるから、1回我慢してみたら?」
当時の僕からすると、衝撃的なアドバイスです。
それまではお客様の
「また連絡するね」
という一言を断り文句だと思っていました。
でも、沖縄では即決するケースはほとんどないらしいのです。
プレッシャーを与えると逃げてしまう傾向があり、こちらからの電話は逆効果でした。
それからは「自由に検討してください」と伝え、待つようになりました。
代わりに注力したのが、丁寧な接客です。
内見では集合時間の10分前には到着し、スリッパや資料を抜かりなく用意し、お見送りは見えなくなるまでお辞儀をする等。
信頼されるコミュニケーションを心掛けました。
すると、本当にお客様から電話がかかってくるようになったのです。
沖縄に来てからずっと停滞していた売上がぐんぐん上がり始めました。
それまでは「お客様の満足度」よりも「自分の成績」を上げたいという気持ちが強かったように思います。
努力はしていましたが、その目的は「出世」でした。
沖縄での失敗を経て「お客様のことを第一に考える提案営業」に切り替えることができました。And Doホールディングスの経営理念「お客様から必要とされ、お客様へ尽くします」に感化されたことも、営業スタイルを変えられた理由です。
こうした成果が評価され、1年前に不動産の仲介から売買へ部署異動し、さらに大きな仕事ができるようになりました。
自分が目利きして買った物件が、不動産市場で評価されて売れていく。
会社に利益が残り、自分の給料に反映される。
その目に見える大きな成果が、新しいやりがいになっています。
■ネガティブになる前に「一人前」を目指すべし
こうした挫折も経験しながら働いているうちに、性格も変わってきました。
もともと僕はネガティブなのですが、ネガティブのままじゃ仕事はうまくいきません。
だって、
「暗い営業と仕事したい」
と思う人はほとんどいませんから。
いまだにネガティブではありますが、仕事ではスイッチを入れて前向きな考え方に切り替えています。
落ち込んでいる後輩がいたら
「アルコール入れてから考えよか」
と飲み会に誘います。
飲み会で明るく話しかけていると、本音がぽろっと出てきたりするものです。
特に新卒は社会人経験が少ないので
「思っていたような成果が出ない」
「自分には向いていないのかもしれない」
といった理由で悩み、辞めたいと考える子が多いように思います。
まあ、暗いです(笑)
たくさん失敗してきた先輩として言わせてもらいますが、一人前にすらなっていないのに悩む必要はありません。
「言われたことを全部やっているのに成果が出ない」のであれば、何か問題があるから悩む必要があります。
でも、そうじゃないですよね。
悩むのは一人前になってからで大丈夫。
全部やっていないのに、全部できていないのに、うまくいくはずがないんです。
その段階で「向いている」とか「向いていない」とか、適性がわかるはずないんです。
いきなり大きな売り上げを目指すからつらくなります。
コピーができたとか、チラシを作れるようになったとか、そんな小さい目標をクリアしていけばいいんです。
そんな小さな積み重ねが「成長している実感」になり、仕事が充実していきます。
コツコツ努力できる人は、自分で仕事を生み出せる人です。
・数字や出世にとらわれず、目の前のお客様に満足してもらうために行動すること
・うまくいかなくてもあきらめず、コツコツ一人前を目指すこと
この2つさえ守れれば、仕事への向き合い方が変わり、成果と給料がついてきます。
これからもコツコツ努力を続けていきます。
(中川健司:仕入れ売買営業職を担当。姫路駅南口店の店長)
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